父が詐欺にあいかけた。
平日の昼下がり、唐突に父が言った。
「銀行に行ってくる」
どういうことかと思いきや、
「パソコンの画面にウィルスに感染したという警告画面が出てきたから、書いてあった電話番号に電話したんだけど」
とのこと。
詳しく聞いてみると、電話口の人に指示されるがままにパソコンを遠隔で操作され、銀行のアプリにログインさせられたそうだ。預金残高などが表示されている画面に行きついたところで「怪しい」と気づき、電話を切って即座に銀行に連絡したそうだが、金融機関のパスワードを知られてしまったため変更をしに銀行へ行くのだそうだ。
父から聞いた警告画面について調べると、やはり「詐欺」らしく、対処法として「遠隔操作に応じた場合には、そのアプリを削除するか、アプリがわからない場合にはパソコンの復元をすること」と記載されていたので、銀行に行く父の代わりに私は父のパソコンを復元した。
復元には時間がかかる。復元されるのを待つ間、私はぼんやりとなぜこういった詐欺にかかってしまうのか、考えていた。
ひとつにインターネットに対するリテラシーの低さと、SNSなどに縁がないことが挙げられるだろう。私はSNSを通して、この手の詐欺が横行していることを知っていたが、父はSNSをラインしか使わないし、パソコンもメールチェックと資料作成くらいしかしない。
パソコンから突然、大きな警告音が鳴り響き、「ウィルスに感染しました」と警告が出たら不安になるのは当然のこと。しかもその警告が大手メーカーを名乗っていたら、信じて助けを求めてしまうのも無理はない。
私自身、事前にこういった詐欺の情報を得ていなければ、騙されていたかもしれない。
そういえば、父は以前にも、家にやってきた怪しげな営業マンの話を真剣に聞いていたことがある。一時期ニュースで話題になった
「無料で屋根の修理をしますよ」
というやつである。その時は、すぐに母が止めに入ったので何事もなかったのだが、自分自身が若いころに営業で苦労したこともあるから余計親身になってしまったのだろう、というのが母の見解だ。
こういった、人の善意や不安につけこむ犯罪は許せない。だからといって完全になくなるわけでもないし、危ない目に遭わないよう、細心の注意を払いつつ、家族間で情報の交換をしたり、困ったときにすぐに助けを求めあえるような関係性を構築しておくことが大切だなと感じた。
最後に、今回の出来事で調べたことを軽くまとめておく。
- 該当の詐欺に遭ってしまったときは、まずブラウザを閉じる
ブラウザを閉じると警告音も消える。 - 絶対に電話はかけない
- 警告画面が表示されている時点では、ウィルスには感染していない。電話をかけて、遠隔操作などをされる中で情報を抜き取られる可能性がある
- 電話をし、遠隔操作に応じてしまった場合には、指示されてDLしたアプリの削除とパソコンの復元(遠隔操作される前の状態に戻す)
- 金融機関のパスワードなどを開示してしまった場合には、すぐに金融機関に相談し、該当の金融機関がある地域の警察にも相談すること
騙すほうが百悪いが、責めたところでそういう人が反省するわけでも、いなくなるわけでもない。少しでも多くの人が平穏に暮らせますよう。最新の犯罪への対処法に、常に気を配っていきたい。
コメント