数か月に一度、菓子パンが食べたい日

　チョコレートでもなく、ビスケットでもなく、アイスクリームでもなく、あのふわっふわで甘ったるい菓子パンが食べたい。そんな強い食欲の湧き上がることが数か月に一度ある。

　普段はコンビニへ行ってもスイーツコーナーを素通りして、カップ麺のコーナーへ行く私だけれども、本当に年に数回、ほかの何でもなく菓子パンが食べたくなる。その強いこだわりが、今朝、突然にやってきた。

　キッチンカウンターや、戸棚の中、冷蔵庫に冷凍庫まで探したけれど、そんな都合よく菓子パンは置いていない。だからと言って買いに行くのは面倒。

　この食欲をどうしたものか、コーヒーを飲みながら思案していると、ふっといいことを思いついた。冷凍庫に眠っているディナーロールを解凍し、キッチンカウンターに残っていた一口チョコを半分に切る。解凍できたディナーロールに、チョコをのせて、トースターで四分温めれば、あまりもの菓子パンの完成である。

　部屋に戻って、一口。カリッとしたトースターの上で甘いチョコレートがとろける。

　これこれ！

　何物にも代えがたい欲望が、あまりもの菓子パンの甘さに満足して穏やかに沈んでいくのを感じながら、ちょうどよく冷凍ディナーロールとチョコレートがあったことに感謝したのだった。